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この文章は,『月刊ポスドク第6号 (2016年12月発行) に寄稿したものです.編集・発行者の許可を得て,こちらに転載しました.


蔵書印を作ろう

書籍迷子問題

研究に使う書籍を購入して手元に置いておくとき、自分のものがどれだったかわからなくなるという問題が (すくなくとも私のまわりでは) たまに起こります。研究室のほかのメンバーとは興味が似たようなところに向きますので、同じ本を持っていたり、誰かに貸したままどこかにいってしまったり。

そうした問題を避けるために、持ち主による本への名前の記入が (少くとも私のまわりでは) よく行なわれています。実際、これまでお世話になった複数の研究者が、自身の名前を書籍の最後のページなどに記していました。(アルファベットで、姓 + 名前のイニシャル、というケースが多いようでした)。

しかし、名前を手書きするのに、私はちょっと躊躇してしまうのでした。字が汚かったらカッコ悪いし、「持ち物には名前を書きなさい」って、小学校の頃の規則に次ぐ規則で縛られた嫌な思い出がよみがえってきます… (名前記入派のみなさますみません…)。いつ記入してもそれなりの質が保てて、ただ名前を書くだけじゃなくてちょっとひねったもの、と考えた私は、蔵書印に行き着きました。


蔵書印を作る

自分でデザインした図案をハンコにしてくれる会社をネット検索したところ、けっこうたくさんの数がヒットしました。そのなかから、評判が良くて安めなところを選んで、申し込んでみたのが今から数年前。

手順は非常に簡単で、TIFFやPDF型式の画像ファイルをWeb経由で送り、代金と送料を入金するだけで、約1週間後には自分でデザインした図案のハンコが手元に届きました。ものは試しと、木の台座に貼り付けゴムで図案の彫られている安めの製品を購入したにもかかわらず (送料とあわせて1000円ちょっと)、購入から3年半以上経った今でも壊れることなく使えています。

こうしてできあがった蔵書印を、研究のために購入した書籍やメモをとるために使っている野帳にペタペタ捺して、ひとりで悦に入っているのでした (図1)。


でも……

しかしそもそも、本を「汚す」ことに拒否感を抱く人もいるかもしれません。きれいな本は、できるだけきれいな状態で保存しておきたいもの。若干完璧主義的な傾向をもつ私も、なんとなくわかりますその気持ち。しかし私はそもそも本に書き込みをするタイプだったため、書き込みするくらいなら蔵書印だってもう別にいいじゃない、といった気持ちで、すんなり受け入れてしまったのでした。

あるいは、経済的な理由から拒否感を抱く人もいるかもしれません。蔵書印が入っていると、古本として売るときに買い取り価格が下がってしまうと。それもそうですね……。まあ経済的な理由に関しては、蔵書印が入っていることでかえって価値が高まるような業績をあげられるようにがんばれば良いのだと思います (適当)。


想いを馳せる

とはいえ私は、手にとった古本に蔵書印が捺されていたりすると、ちょっとうれしくなってしまいます。ほかにも、外国の図書館の除籍印が捺されていたり、名も知らぬ持ち主のメモやしおりや控えめな書き込みが入っていたりすると、その本のたどってきた来歴に想いを馳せて、なんだかロマンチックな気分になるのです。

この本は、将来もし私の手を離れたとしたら、その後どうなるだろうかと、そんなことを想像しながら、本棚に新たな書籍を迎え入れるたびにペタペタやっています。


Ownership seal on a book

図1. 蔵書印を捺してみたところ





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