HOME Introduction Research Other

Research > Description

研究解説

受理された論文などについて、研究成果を日本語で解説します。

研究内容

主に理化学的な分析を利用して、いろいろな「わたしたち」の多様な生きざまやライフヒストリーを調べる研究をしています。ずっと昔に暮らしていた過去の人類、進化の隣人であるチンパンジーやオランウータンなどの大型類人猿、現代社会に暮らす人びとなど、わたしたち人類や霊長類は、どのような文化や環境のもとで、どのように生まれ、どのように生き、どのように亡くなっていったのか、そしてそれが生物の進化にどうつながったのか? そうしたことを明らかにしようとしています。

研究には主に同位体分析と古代プロテオミクスという手法を用いています。数理統計、行動観察、その他の分子生物学的手法なども必要に応じて利用しています。


総説

地球化学分析による授乳・離乳習慣復元 (レビュー)
安定同位体分析・微量元素分析を利用して授乳・離乳を調べる研究についてのレビューです。過去のヒトが中心ですが、ヒト以外の霊長類や哺乳類、現代人を対象とした研究についても包括的に説明しています。


霊長類学

野生オランウータンの安定同位体生態学
ダナムバレイの野生オランウータンに対して安定同位体分析を実施し、この手法が食性推定に有効かどうかを確かめました。

飼育下オランウータンにおける同位体オフセットの推定
飼育下のオランウータンを対象にして、食物と体組織のあいだに生じる安定同位体比の差分を推定しました。この値は、野生の個体の食性推定において重要となります。

ウガンダの森林における霊長類の異種間グルーミング
野生下で、チンパンジーのコドモがレッドテイルモンキーからの要求にこたえてグルーミング (毛づくろい) をした珍しい事例について記述しました。

飼育下チンパンジーにおける同位体オフセットの推定
飼育下のチンパンジーを利用して、食物と毛/糞のあいだの炭素・窒素安定同位体比の差分を推定しました。この値は食性復元で重要なパラメータになります。


人類学・考古学

魚骨から復元する漁撈と海洋環境の変化
遺跡から出土する魚骨を通時的に分析し、ヒトの漁撈や海洋環境に変化があり、漁獲される魚のサイズが変化していた可能性を示しました。

江戸時代の奉公と授乳期間
住み込み奉公の程度によって授乳期間がどのように変化するかを復元し、その結果出産間隔がどのような影響を受けるかを考察しました。

象牙質連続切片の数理モデル化
歯の象牙質を連続並行切片にして分析し、幼少期の食性を復元する手法では、年齢のあてはめが不正確であることを明らかにしました。

子供観の変化と離乳
江戸時代に「子供観」が変化した前後で授乳習慣がどう変わったかを調べました。

イヌの骨に残った乳タンパク質
1000年以上昔の遺跡から発掘されたイヌ新生児の骨に、死亡直前に飲んだと思われる母犬の乳のタンパク質が残っているのを検出しました。

隠れキリシタンの村の食性
隠れキリシタンで有名な江戸時代の山間部の村で人びとが何を食べていたかを復元しました

離乳後の食べ物
すでに報告されている世界中の古人骨集団の安定同位体比メタ解析し、離乳後のヒトの子供が何を食べていたかを調べました。

ゆりかごから墓場まで
多元素・多組織の同位体分析により、江戸時代のある家老のおばあさんの生涯を復元しました。

縄文時代の離乳年齢
縄文時代の狩猟採集集団の古人骨について、同位体分析という手法を用いて授乳・離乳習慣を復元し、農耕の開始と離乳年齢の関係について考察しました。

江戸町人の食性の個人差
江戸時代の遺跡から出土した町人の骨について、同位体分析という手法を用いて食性を復元し、個人間の違いや、社会階層・地域による違いを考察しました。

オホーツク文化における離乳年齢
北海道・オホーツク文化の遺跡から出土した小児骨について、同位体分析という手法を用いて、授乳・離乳習慣を復元して出生率を推測し、当時のオホーツク文化の分布域の広がりとの関連を議論しました。

中世鎌倉・由比ヶ浜南遺跡における授乳期間
中世鎌倉の遺跡から出土した古人骨集団について、同位体分析という手法を用いて、授乳・離乳習慣を復元し、当時の健康・栄養状態、および都市化との関連について考察しました。

オホーツク文化のヒトとイヌ
北海道オホーツク文化の遺跡から出土した古人骨・動物骨集団について、同位体分析という手法を用いて食性を復元しました。ヒトとイヌの食べ物が違っていました。

都立一橋高校遺跡における授乳・離乳習慣復元
江戸時代前期の江戸の遺跡から出土した古人骨集団について、同位体分析という手法を用いて、授乳・離乳習慣を復元し、江戸の都市化と人口動態について考察しました。

過去1万年間のヒト集団における離乳年齢
小児骨の窒素同位体比から離乳年齢を客観的・定量的に解析するプログラムを開発し、先行研究で報告されている世界中の39の古人骨集団 (約8.5千–200年前) での結果をメタ解析しました。

有珠モシリ遺跡における授乳・離乳習慣復元
北海道続縄文時代 (2300–1700年前) の有珠モシリ遺跡から出土した古人骨集団について、同位体分析という手法を用いて、授乳・離乳習慣を復元しました。


方法論

考古魚骨の前処理法についての検討
考古魚骨からコラーゲンを抽出して安定同位体分析する際に、どのような方法で抽出をすれば良いのかを検討しました。

コラーゲン抽出法の比較
安定同位体分析による食性復元では、古人骨からコラーゲンを抽出しますが、ふたつの方法を比較検討しました。


科学と社会

iPS細胞のインパクト: 科学者・報道機関・人々の注目の違い
iPS細胞に関する論文・報道・ウェブ検索数の定量的調査と、それらの内容の定性的評価をもとに、iPS細胞の研究が、科学者・ 報道機関・一般の人々より、いつからどのように注目されたのかを考察しました。




HOME
HOME


Introduction
Introduction


Research
Research


Other
Other